再結成したFAIR WARNINGのアルバム。去年の7月に出ていたみたいですが、私はずっと旅をしていたので、つい最近買って聴きました。再結成してどんな音になっているか興味ありましたが、良くも悪くもFAIR WARNINGらしいメロディアス・ハードロックですね。特に"Tell Me Lies"や"In The Dark"といった曲は昔からのファンが期待するFAIR WARNING節が全開の佳曲だと思います。個人的にはちょっと異色な"Generation Jedi"がお気に入りですが。作風としては解散前の「FOUR」に一番近い気でしょうかね。「RAINMAKER」も少し入ってるかな。それに解散後に各人がそれぞれの活動で得た経験をプラスって感じ(特にヘルゲのDREAMTIDE的なとこが多い)。
ただ、前にも聴いたことのあるようなアレンジや歌メロが時々出てきて、全体的にセルフパロディというか、過去の遺産を劣化再生産しているという印象しか残りません。無難な曲ばかりですけど、どの曲も"Angels Of Heaven"や"The Heat Of Emotion"と比べると見劣りしてしまうのは事実なんで。個人的にはFAIR WARNING型のメロディアス・ハードロックは「GO!」で一つの到達点に達したと思っているので、どうしてもそうなってしまうんでしょうけど。
下記のウォルター・トラガートのアルバム以上に収録曲のスタイルは多種多様で、“You And Your Lady”のようなウエストコーストの風を感じさせるオシャレな曲もあれば、“Something Real”のようにカントリーテイストの濃い曲もあり、泥臭い面とポップでオシャレな面との両方持っているのが面白いですね。ただ、私のようなライトなリスナーにはコテコテな曲はちょっと濃すぎて、“Plain And Simple”や1st収録の“You Were There For Me”といった曲ほどの興奮は得られませんでした。曲で言うと、前述の“Plain & Simple”が私的キラーチューンで、その他にはカスレ気味の声が映えるバラードの“I Think Of You”や“Is That Anyway”、“Gwendolyne”や“Repeated Mystery”あたりがお気に入りです。
LOOSE DIAMONDS解散後はプロデューサーとして活躍しているだけあって楽曲のアレンジも凝っていて、女性バックボーカルやストリングスの使い方も絶妙です。“You And Your Lady”の女性コーラスとか“Damaged Goods”のサックスソロとか、“I Think Of You”のピアノとか私のツボを刺激してくれるポイントが多数あって何度も昇天しかけました。
また、彼は地元オースティンではギタリストとして高く評価されているらしいですが、確かに職人芸的なギターにはセンスの良さを感じます。技巧的な派手さはありませんが、“Someone To Share It With”のソロに代表されるように、印象的なフレーズを一音一音大切にして丁寧に弾く人だなと思いました。つか、エレキのソロも良いですが、私が惹かれたのはアコギによるバッキングで、“Repeated Mystery”や“Gwendolyne”などでの繊細なプレイはぜひ生で聴いてみたいと思わせる魅力があります。
「Lousy With Desire」 / Walter Tragert
いきなりですが、今年の私的ベストアルバムが決まっちゃいました。このウォルター・トラガートの2ndアルバムです。彼はオースティンで活動するSSWで、DWHQの招きで現在スクラッッピー・ジャド・ニューコムと来日中です。最近まで彼の名前すら知らなかった私は、「ライブの予習のためにとりあえず買っておくか」という半ば義務的な気持ちでGoateeの通販で購入したのですが、これがホントに素晴らしい出来で、ここ1週間ほどは取り憑かれたようにこのアルバムを何度も繰り返して聴いています。
音楽的には、ソウルミュージックやブルーアイドソウル、英国パブロックからの影響を受けていると紹介しているところが多いですけど、モロにソウル風なのは1曲目の“Singing On The Radio”だけですし、ブルーアイドソウル的なのはボーカルや曲の味付けだけで、楽曲に限って言えば基本は実にストレートでアメリカンなロックだと思いますね(1stはもう少し影響が色濃く出ていますが)。音楽性は少し違いますが、私の大好きなリッチー・サンボラの2ndと同じ“臭い”を感じます。まぁ偉そうに語れるほど私はパブロックにもブルーアイドソウルにも詳しくないのですが、ルーツロックやアメリカーナというジャンルを超えた普遍的な魅力を持つ音楽なので、一部の愛好家だけのものにしておくにはホントに勿体ない逸材であることだけは確かです(*)。
とにかく、ソウルとかパブロックとかはこの際どうでも良くて、とにかく曲が素晴らしいんです。収録曲のスタイルは非常に多彩で、前述のソウル風の“Singing On The Radio”に軽快なロックンロールの“Harder Tonight”や“What Do You Want”、美しいバラードの“What Else Can I Do”、ピアノだけをバックにムーディーに歌い上げる“Under The Rainbow”、弦楽四重奏をフィーチャーした異色の“Tosca Girls”、思わず一緒に歌っちゃうくらいキャッチーなサビを持つ“Always On Fire”、と音楽的な引き出しの多さを見せつけながらも、不思議と統一感がありますし、どの曲もフックの効いた親しみやすいメロディを備えています。また、どんなスタイルの曲でもシンプルかつコンパクトにまとめられているのも良いです。最近は歳のせいか新しいアルバムを聴いてもなかなか曲を覚えることができないのですが、このアルバムは1回聴いただけでほとんどの曲が頭に入りました。
ウォルターの声はクセのないストレートなロック向きの声で、声質的にはブルース・スプリングスティーンを少し上品にしたって感じでしょうか。歌唱力もかなりのもので、張りのある中音〜高音部が素晴らしいです。この声でソウルフルに歌い上げるボーカルは貫禄十分で、何度聴いても惚れ惚れします。実は上で私がリッチー・サンボラの名前を出したのは、声を張り上げて力強く歌い上げる時の雰囲気が少し似ているからというのもあるんです。この歌声を生で聴けるのかと思うとライブが待ち遠しいです。プロデュースを務めギターも弾いているスクラッピーの貢献度も大きくて、私のお気に入りである“Hands Of The Devil”のギターは最高です。MySpaceでは3曲ほど試聴できるようになっていますし、日本ツアーはまだ半分以上の日程が残っていますので(ツアーの日程)、ぜひお近くにお住まいの方はライブに足を運んでみて下さいな。
ちなみに、イタリアのインディレーベルから発売された1stアルバム「Heavy Just The Same」は音質や洗練度という点ではやや劣りますし、今作に比べるとブルーアイドソウルなどからの影響が少し濃いですが、基本的には同じ路線なのでオススメです。この2ndと同様にGoateeで購入できます。
KARNATAKAのライブ映像を見るのは初めてなのですが、やっぱりフロントに美女が2人も並んでいるのは華があって良いですね。ヒッピー風(?)の衣装を着て気品ある雰囲気を漂わせながら、曲に合わせて踊ったりマラカスを振ったりする2人の姿は見ているだけで心が和みます。ボーカルのレイチェル嬢の美しい歌声も当然ながら、メンバー自身も語っているように、3rdアルバム(2ndだったかも)から加入したアン・マリー嬢の存在感も大きいです。彼女のフルートとバックコーラスが映える“After The Rain”や“Strange Behaviour”の美しさといったらもう言葉では言い表せないくらいですね。
彼の音楽のベースとなっているのはカントリーやフォーク、ポップ、土着的アメリカンロックでしょうけど、それらの影響を上手く消化して自分のスタイルを築き上げています。そんな彼の音楽性を一言で説明するなら、都会的に洗練されたモダンでメロウなロックという感じでしょうか。"One More Holiday”や“Draper”といった曲ではアコギのバッキングが良い味を出していますし、“Being Young”や“Everybody But You”など随所で効果的に使用されているエレキギターはロックテイスト満載で良いアクセントになっています。また、マンドリンとハーモニカが何とも言えない郷愁を醸し出す“Grace”も私のお気に入りです。
今までに何度か彼とはメールでやりとりをしたことがあるのですが、メールの文面から受けた印象をそのまま音にしたような音楽で、彼の真摯な人柄がよく表れていると思いました。間違いなく私が一生お付き合いするアルバムの一枚になることでしょう。彼が私にメールを送ってこなければ恐らく彼の音楽に出会うことはなかったわけですし、ホントにインターネットで素晴らしいと思いますね。オフィシャルサイトでこのアルバムに入っている“Everybody But You”という曲が聴けるのでお暇な方はぜひ聴いてみて下さいな。
ロニーの声も艶々で絶好調です。特に「THE LAST IN LINE」のツアー時のフィラデルフィアでのライブは素晴らしくて、DVD化されことが先日発表されたRAINBOWの77年のライブよりも、こっちの方が遙かに張りと伸びのある声が聞けると思います。あと、今より少し若く見えるだけでルックスにほとんど変化がないというのも驚異的ですが、タイトな衣装に身を包んでステージ上を精力的に動き回っており、その辺に若さを感じます。
つか、ライナーを読んで初めて知ったんですけど、「HOLY DIVER」と「THE LAST IN LINE」ってアメリカで30位以内に入っていたんですね。フィラデルフィアでは結構大きめの会場にびっしりと観客が入っていて、パイロや火を使った演出やステージに巨大なヘビが登場したりと、最近のアメリカでのDIOのツアーの規模とは比べものにならない規模です。生で観たかったなぁと思いました。
ステファニー・アドリントンのボーカルは透明感溢れるアニーのエンジェル・ヴォイスと比べると天と地ほどの違いがありますし、声量がちょっと弱いような気がしますが、シンガーとしてはそれなりに力量はあると思います。“The Other Woman”ではアニーのような気品のある歌い方をしたかと思えば、“Lock In On Love”では感情豊かに歌い上げたりと表現力もなかなかのものです。
コアーズが幼少の頃から親しんできたアイリッシュのトラッドをカヴァーした新譜。コアーズは初期のアイリッシュの香りのする曲が好きだったので、ポップ化が進んだ最近の曲はあまり好きではなかったのですが、とことんアイリッシュなこのアルバムは文句なしに気に入ってます。私のような門外漢が知っている曲は“My Lagan Love”や“Peggy Gordon”、“Haste To The Wedding”ぐらいですが、どの曲もコアーズ流のトラッドポップにアレンジされていて非常に聴きやすいです。昔から慣れ親しんだ曲なのでアンドレアは無理なくノビノビと歌っており、特に“Heart Like A Wheel”での情感たっぷりの歌唱は素晴らしいです。シャロンがボーカルを取っている“Dimming Of The Day”もなかなかの出来で良いです。シャロンの声のキーや歌い方はアンドレアとは違いますけど、少し鋭角的で芯のある声という声質は驚くほど似ていますね。
フィル・ライノットのソロ曲のカヴァーである“Old Town”がちょっと浮いている気もしますが、アンプラグド・アルバムでもこの曲をやってましたし、彼らのお気に入りなんでしょうね。どーせなら、もう一人のアイルランドの英雄であるゲイリー・ムーアの“Over The Hills And Far Away”なんかもやって欲しいと思うのですが・・・。まぁ多分無理でしょうね。それでも、スタイルの違う曲でも見事なアレンジセンスでコアーズ色に染め上げているのはさすがです。何も知らない人が聴いたらコアーズの曲と言われても何の違和感もないでしょう。
と偉そうなことを言ってみましたが、若さにまかせた猪突猛進なメタルはカッコいいことは確かで、メロディアスなリフが痺れる“Like A Light To The Flies”やイントロのメイデンチックなツインリードが堪らない“A Gunshot To The Head Of Trepidation”といった曲を聴いていると思わず頭を振りたくなります。ライブの予習のためにこのアルバムを通勤中に聴いていたのですが、電車の中でヘッドバンギングをしたい衝動を抑えるのが大変でした。クリーンボーカルのみで歌われる“Dying In Your Arms”も切なくて良いですね。
ライナーの解説を読むと彼女はノルウェーのアーティストでアメリカやイギリスでも大人気らしいです。元々はDJとして活躍していて、それがやがて自分で曲を作って歌うようになてブレイクしたんだとか。歌はそんなに上手くないし、声も細いし、専門外のジャンルなので曲の善し悪しも分からないし、いくら私の守備範囲が広いとはいえ、さすがにこれはちょっと厳しいところがあります。敢えて褒めるところを挙げるなら、タイトルトラックの“Anniemal”や“Me Plus One”は80年代ポップス的要素があって悪くはないと思いますね。全体的にもう少しポップなら私でも聴けると思うのですが・・・。何でこんなCDを買っちゃったんだろう・・・。
あと、この手のバンドにしては珍しく収録曲は全てオリジナル曲で、Gibbons姉妹の姉のDanniが一人で書いているというのには驚きました。前述の“With Love”の他にもポップな“Can't Touch”やトラッドロック調の“Half A Bowl Of Cereal”も良いですし、Danniの輪唱風(?)のバックコーラスが印象的な“5 Foot”もいい曲です。Danniはこのアルバムのプロデュースも手がけていますし、顔はあまり可愛くないけど(コラ!)、音楽的才能は素晴らしいものがあると思いますね。ホント将来が楽しみです。
グルジア出身の歌姫ケイティ・メルァの2ndアルバム。1曲目の“Shy Boy”を聴いて一瞬「アレっ?」って思いましたが、次の“Nine Million Bicycles”は大ヒットしたデビュー曲“The Closets Thing To Crazy”路線の曲だったので一安心。ただ、タイトルそのままにブルージーな“Blues In The Night”や“On The Road Again”、ジャズ・ソウル風味の入った“Shy Boy”や“Blue Shoes”、フォーキーな“Halfway Up The Hindu Kush”といった曲があるので、少し違和感を感じるのも確かです。確かに前作にも“My Aphrodisiac Is You”や“Learnin' Blues”などのブルージーな曲はありましたけど、今回はそういったルーツ色の濃い曲が半数近くに増えています。楽曲に幅を持たせたという見方も出来ますが、“The Closets Thing To Crazy”タイプの曲とは明らかに色が違うのでアルバム全体の印象は少し散漫な印象が残ります。
でも、曲単位で見るといい曲はたくさんあって、ケイティのブレイン兼プロデューサーのマイク・バットのペンによる“Nine Million Bicycles”や“Thank You Stars”ではファンの期待するケイティ・メルア節が堪能できます。また、ケイティの自作曲は今回は4曲(+マイクとの共作が1曲)あるのですが、4曲とも素晴らしい出来で、特に“Piece By Piece”と“Spider's Web”は私のお気に入りです。“Spider's Web”のサビの何とも言えないキュートで物悲しい歌声を聴くと思わず身悶えしてしまいます。
今年発売されたTHIN LIZZYのライブDVD。名ライブ盤として有名な「LIVE AND DANGEROUS」と同名ですが、いくつか会場での音源をまとめていたアルバム版とは違ってこれは一つの公演を収録したものです。THIN LIZZYのライブ映像は昔WOW WOWでやっていたジョン・サイクス時代のものしか見たことがなかったのですが、やっぱりTHIN LIZZYはこの4人が揃っていた頃が一番良かったということを再認識しました。スコット・ゴーハムとブライアン・ロバートソンの攻撃的かつ華麗なツインリードはエキサイティングですし、ブライアン・ダウニーのタイトで小刻みなドラミングも最高です。
そして、何と言っても今は亡きフィル・ライノット。汗をしたたらせながら“Still In Love With You”を熱唱する姿はカッコ良すぎです。また、実は私はフィルのベースも好きなんですが、このDVDは音がかなりクリアなので、“Emerald”でのタイトなベースとか“Still In Love With You”での歌うようなメロディアスなベースラインとかがしっかり聞こえるのが嬉しいです。ベーシストとしてのフィルってあまり評価されてないみたいですけど、個人的にはセンスという点ではかなり高く評価しています。
あと、THIN LIZZYってジョン・サイクスが参加した「Thunder And Lightning」でメタル風のサウンドになったって言われていますけど、この頃からかなりヘヴィだったんだなぁということに気づきました。特にリズム隊の刻むフレーズはこの時点で十分にメタリックです。